排水管・下水道のキャパシティオーバー:内水氾濫
地球温暖化による近年の豪雨は過去に経験したことがないような多量の雨を降らせています。豪雨による河川の氾濫と共に都市部では下水道や排水路の容量が超えてあふれ出す内水氾濫による浸水被害が問題となっています。2019年に武蔵小杉で起きた浸水は排水管が逆流して起こる内水氾濫でした。
この内水氾濫が起きやすい場所の一つは以前は河川であった場所が蓋をされて出来た暗渠です。東京を流れる小規模の河川の多くは都市開発に伴う下水道への転用や環境整備のために 1960 年代から次々と暗渠化されていきました。
東京23 区内には約70本の暗渠があり、総延長は約106kmに及ぶとされ、緑道やマンホールが連続する場所となり、見た目には水の流れる様子が確認できません。23区内でも暗渠の本数が最も多いのが世田谷区で、 北沢川、烏山川などは暗渠となり緑道として整備されてきました。
弦巻付近を水源とする蛇崩川はその名が示すように過去に氾濫や土砂崩れが度々起こったという云い伝えがあります。過去30年間の水害は蛇崩川の暗渠付近で多く、注意が必要です。
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暗渠周辺における住民の水害に対するリスク認知より |
緑道沿いの家は買うな?湿気とドブの臭い
世田谷区の暗渠は植物が植えられて緑道となっているケースが多くあります。烏山川緑道、蛇崩川緑道、目黒川緑道、北沢川緑道、玉川上水緑道、九品仏川緑道など多くの緑道が作られています。
一見すると緑が多く雰囲気が良い緑道沿いの住環境ですが、水害のリスクだけではなくその他のリスクも潜むと言われます。
暗渠は川の流れに蓋をしている物であるためその付近は湿気が多く、家の押し入れにはカビが生えやすいとされます。また下水の臭いにも悩まされるケースもあって、硫化水素臭やその他の揮発性有機化合物の臭いは実際にあるとされます。
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河川の暗渠化の様子 |
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