厳耕地の怒り井戸(多摩市・唐木田)

 多摩市唐木田3丁目あたりに死体が投げ込まれた怒り井戸が存在したという。 落合地区唐木田に厳耕地(げんごうじ)という所がある。ここに怒り井戸とよばれる井戸があって、天気のよい日でもゴトゴトと音がして不気味であったという。 

昔、厳耕という法印が老夫妻の家に滞在し、老婆と密通し、共謀して夫を殺し井戸に捨ててしまった。やがて悪事が露見し、二人は磔(はりつけ)になり、その松の木を磔松という。また、死体を投げ込んだ井戸は、雨が降るとモクモクと黒い水が出、怒り井戸とよばれるようになった(『叢書5』)。 


『多摩町誌』には、老婆と旅僧が磔になって、二人の死体を上ノ井戸・下ノ井戸にそれぞれ投げ込まれたが、承知できぬ両方の井戸からごうごうと水が流れ出し、厳耕地の怒り井戸とよばれるようになったと記している。ここは、祟りのある所だといわれ、後に、その土地の持ち主が石塔を建てた。 (多摩市史より)



[解説]
厳耕地は現在の多摩市唐木田1丁目(神奈川縣南多摩󠄁郡落󠄂合村土橋・嚴耕地)のショッピングセンター周辺にあったと云われます。ごうごうと音を立てた怒り井戸は大和証券研修センターにあったそうです。

旧厳耕地は祟りがある忌み地であり、2018年にビル火災により5人が亡くなる事故が起きています。

煙が上がる建設中の建物(26日午後2時57分、東京都多摩市)=共同



・建設業者らに有罪判決 多摩の5人死亡ビル火災、東京地裁立川支部


コメント