東京都多摩市唐木田3丁目の東急自動車学校のあたりは昔、小さな丘になっており、「はりつけ松」という松の木が存在した。
落合地区唐木田に厳耕地(げんごうじ)という所がある。ここに怒り井戸とよばれる井戸があって、天気のよい日でもゴトゴトと音がして不気味であったという。昔、厳耕という法印が老夫妻の家に滞在し、老婆と密通し、共謀して夫を殺し井戸に捨ててしまった。やがて悪事が露見し、二人は磔(はりつけ)になり、その松の木を磔松という。また、死体を投げ込んだ井戸は、雨が降るとモクモクと黒い水が出、怒り井戸とよばれるようになった(『叢書5』)。
多摩市唐木田の南多摩尾根幹道と町田平山八王子線が交わる交差点付近は、かつて厳耕地と呼ばれる忌み地の類であった。
旅僧侶(厳耕)が老夫婦の家の居付き、老婆と僧侶が不倫関係となる。夫が邪魔になったので、殺害して死体を投げ込んだ井戸(怒り井戸)と罪を問われて処刑された二人がはりつけ(磔)にされた「はりつけ松」の話がセットで伝わっている。
はりつけ松は現在の多摩市唐木田の東急自動車学校付近に存在した。
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