シラカシの古木に抱かれた板碑(東京都府中市分梅)

漫画「ちはやふる」 に登場する分梅神社のモデルとされる東京都府中市分梅町にある天王宮八雲神社。

神社近くの住宅街には「七百余年の歴史の板碑」という物があり、現在の板碑はレプリカだが、かつては神社境内にあった本物の白樫(シラカシ)の古木に抱き込まれる形で存在していた。

この板碑は元応元年(1319年)11月8日に、大蔵近之という人物が亡き父親道仏の17年忌追善供養のために建てたものとされる(府中市教育委員会)。

過去に存在した板碑を抱き込んでいたシラカシの古木は地域の人々の信仰の対象であり、切ると祟りがある樹木としても恐れられていた。


イタボトケへの願掛けと木の祟り

天王宮八雲神社は古くは天王宮と呼ばれており、牛頭天皇を祀る神社、そして地域の氏神社であった。分梅通り(陣馬道・古鎌倉街道)に面した神社境内にはかつて、シラカシの古木に抱かれた石の板碑が存在し、村人はイタボトケと呼んだ。


村人は子供の咳の治癒を願いイタボトケに願を掛けて、願いが叶うと酒の入った竹筒や白米や絵馬などを供えたという。

昔、イタボトケを抱くシラカシの枝を切り落とした者が居り、その者が熱病を患ったことから村人たちは木の祟りとして恐れ、以後その木の枝を切る者は居なくったとされる(樹木信仰の事例について 高橋文太郎)。




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